2024.4.30 歯医者のむし歯体験記〈矯正編〉vol.02

右下の治療を始めて何か月が経っても全く動く兆しはありませんので、口腔外科の先生に親知らずを脱臼してもらい、ぐらぐらの状態にしてからまた力をかけるようにしました。脱臼してもらった時には自分で触ってもわかるくらいぐらぐらでしたが、すぐにその動きは静まり、しばらくするとまた以前のように動きが完全に止まったようでした。

そこで、当初からの予定通り右下手前の奥歯の辺りにインプラントを1本植えてもらい、それを助っ人にして奥の歯を動かすことにしました。
しかし、何か月か経っても、親知らずを脱臼させても、親知らずが動く気配はなく、やはりゆ着していると診断されました。そんな状態で力をかけ続けても手前の方の動かしたくない歯が動いてしまい、咬み合わせが悪くなってしまいますからいったん装置を外し休みましょうということになりました。これはほとんど治療中止なのかと思いましたが、装置にも慣れて違和感もありませんでしたので、装置は外さず何か月かそのままにしていました。その間、インプラントが悪くなったりもせず、問題は何もありませんでした。親知らずも全くぐらぐらする気配もなく、時間は流れました。

 親知らずはどんなかなと思って、時々舌で触ったりしていましたが、そんなある日のことです。舌で触ったときの親知らずのあたりがいつもと違うのです。なんだかいつもより近くに触れるのです。
 これはひょっとしたら動いているかもと期待半分で自分の医院でレントゲンを撮ってみました。治療前のレントゲン何枚かと重ね合わせてみると以前の位置とは重ならず、どうやら歯が動いているようです。そこで矯正歯科医院を開業された主治医の先生に診てもらいましたら、やはり動いていますよとのことでした。ほんのわずかにゆ着していたところが何かの拍子にはがれて動き出したんでしょうかねとのことでした。

 さあ、再スタートです。まず、ほぼ真横に水平になって生えている親知らずを起こすことから始まりました。ほんのわずかしか顔を見せていない歯に金具をつけ動かすのは、わたしの頭でイメージしても困難を極めます。その先生はさすがに矯正専門医でした。わたしの引き出しにはないやり方でそのステップステップでの最適な形にワイヤーをその場で曲げ、とうとう親知らずは鏡で見るとすべてが姿を現しました。それどころか、斜めに見えていた咬み合わせの面が他の歯と同じような並びになってきました。

 奥歯をまるまる1本分手前の位置に移動させるのですが、歯のアーチに沿って歯の根の平行性を隣の歯と保ちながら動かすのは本当に困難を極めます。その先生はさすが矯正専門医ですね、わたしの引き出しにないやり方でそのステップステップでの最適な形にワイヤーをその場で曲げてしまいます。親知らずは鏡で見てもすべてが姿を現し、それも斜めに見えていた咬み合わせの面が、他の歯と同じような並びになって見えてきました。奥歯をまるまる1本分手前の位置に移動させるのですが、歯のアーチに沿って歯の根の平行性を隣の歯と保ちながら動かすのは本当に困難を極めます。

 矯正を始めてどのくらい経ったか、日記をつけていないのでわかりませんが、再スタートしてから3年が過ぎた時点でこの体験記を書いています。ここまできたら装置はからだの一部になってしまい、違和感は全くありません。食べるときに装置をつけているところにものが詰まりやすいので、右のほうではほとんど咬んで食べません。左側ばかり使っているので歯が悪くならないか、顔のゆがみが出てこないか心配な気持ちはいつもあるのですが、元が食べるのにせっかちな性分ですので、右のほうばかりで咬んでしまいます。何年も苦労して右の歯が良くなっても、その代わりに左の歯が駄目になるのは避けたいのですが、早食いをやめられませんし右咬みもやめられません。困ったものです。