2016.12.20 歯医者のむし歯体験記 vol.03 「子どものころ 2」

 ある時、自分の歯の色が黄色いのが気になって辞典で調べてみると、歯の漂白には過酸化水素水が効くとあったので家にあるオキシフルを使ってみたことがあります。また、今のスウィーツは上品な甘さでとても美味しいですが、昔の甘ものはどこまでも甘かったです。でも、バタークリームの味は懐かしく何年か前に食べることがあって感激でした。甘もの好きならどうぞむし歯ワールドへでしたね。

 歯科医院で乳歯を抜いてもらうということもありますが、そうそう昔は自力でした。ぐらぐらしてきた乳歯を指でくるくるねじって取った上の歯は縁の下へ、下の歯は屋根に投げると丈夫な大人の歯が生えてくるという言い伝えがありましたね。
 わたしは自分の息子のために石こうで歯型を作っておいて、抜けた乳歯を歯型の歯と取り替えてオリジナルの歯型を作りました。自分ではナイスアイデアだと思ったのですが、子どもにはうれしくないプレゼントだったようです。それは埃をかぶって廊下の棚に置かれたままになっています。でも、大人になったら少しは感謝するでしょうか。
 
 高校生までは歯いしゃに行くのは歯科検診(昔は健診ではなく、悪いところを見つける検診でした)で勧告書をもらったときだけでした。友達と「むし歯は何本あった」、「去年より2本増えた」、「歯いしゃに行かなかったのにむし歯が減っていた」なんていう話をしていました。
 テレビのCMで俳優一家が歯ブラシに歯磨剤をたっぷりつけてゴシゴシ歯を磨くのがありました。(磨くという言葉がよろしくないんです。歯ブラシの動かし方を勘違いさせますね。)
 学校でも「むし歯予防教室」や「歯肉炎予防教室」といったものはありませんでしたので、歯ブラシは手でしっかり握って横磨きでゴシゴシ動かすのが良いと思っていましたし、糸ようじは一般には使われていなかったのではないでしょうか。夏休みや冬休みには食生活は不規則になり、ひどいときには歯ブラシを何日もしないなんてこともあったかもしれません。

 むし歯菌は歯が生えると住みつくようになり、口移しのスプーンなどを介して子どもに感染しますが、そんなことは昔の人は知りませんでした。
 子どもにとって正月に食べる餅は大きすぎたので「かあちゃん、ぽちぽちして。」と母親が自分の歯で小さく噛み分けた餅を砂糖たっぷりのきな粉やあんこにつけて食べてましたっけ。そして、長男であるわたしはおばあちゃん子でしたから冷蔵庫の中にはいつもアイスが完備でした。
 それでも高校生まで前歯のむし歯ゼロ、神経を取った歯は1本で、今考えるとつくづく運が良かったなあと胸をなでおろしています。